紹介状 転勤

紹介状
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2005.3.23(うつ病として治療中に転勤したときの紹介状)
※転居後双極性障害として治療開始
傷病名 Depression
紹介目的 転居に伴う加療継続のお願いについて
病歴要約 S38年生まれ 41歳 男

生活歴

県内A市にて同胞2名(♀、Pt)中第2子として出生。生下時に特記事項なし。
3歳時母が逝去。地元小・中学校を経て、県立高校卒。高校時代成績は良好。吹奏楽部でホルンを担当し、県大会でも上位入賞していた。
卒後会社員となり、県内B市に4年勤務の後、県内C市の本社に16年勤務。26歳時現在の妻と結婚。平成14年に県内D市に異動となり、現在、妻と二人暮らし。挙児なし。妻は37歳。主婦。健康。
父は平成8年肝臓疾患にて逝去。享年60歳。
母は患者が3歳時(昭和41年)心臓疾患にて逝去。享年33歳。
姉は45歳。既婚。健康。県内A市在住。
アレルギー歴 特記なし
飲酒:機会的、喫煙:平成15年より禁煙中。
173cm、75kg

既往歴

精神科的、遺伝歴・既往歴に特記事項なし。
平成15年10月右顔面神経麻痺のため入院。
平成15年10月-高血圧のため、通院・内服。

現病歴

平成14年4月県内D市に異動となり、転居。仕事はハードだが順調で、体調も良好であった。元来仕事はバリバリとこなす方であり、若手のホープ的存在であった。
平成15年10月下旬、右顔面神経麻痺のため2週間ほど入院となった。その際、高血圧を指摘され、以後循環器内科にて通院加療となる。仕事の疲れもたまっていたため、ちょうどいい休養となったと感じ、職務に復帰した。
平成16年4月職場の配置換えにより、部下が一斉に替わってしまい、トップも交代したため、仕事がやりづらくなっていった。
また、同時期部下の一人がうつとなり、仕事を休んで通院するようになったため、いろいろと面倒をみていた。大きな仕事が進んでいる時期でもあり(また、新しい上司がこの仕事に関して以前の上司や患者と違う立場であったこともあり)、仕事の負荷もやりづらさも増加した。
同年6月仕事は一段落してきたが、別の部下が仕事を休むようになり、本人は精神科受診を拒否していたが、やはりうつのようであり、やはり患者がいろいろと面倒をみた。
6月28日より、仕事に行く気力が湧かず、欠勤するようになった。また、中途覚醒頻繁となる。部下のことをみていたので自分もうつかと思っていたが、妻が精神科受診をするよう強く勧めたため、7月2日当院受診となった。

治療経過

受診時表情は穏やかであったが疲労の色濃く、声量は中等で明瞭、視線は合わせるがうつむきかげんであった。
易疲労感、意欲低下、自責感、興味関心の喪失、抑うつ気分、朝の不快感、不眠、仕事の能率低下、集中困難、記憶力・判断力の低下などを認め、中等症うつ病エピソードの診断にて、薬物療法と自宅療養が必要であることを説明。理解了承を得た。
パキシル20mg及びメイラックス1mgより治療を開始し、まずは4週間の病休をとることとした。
病気休暇に入って間もなく不眠は改善。その後も落ち着いて休養をとることができ、症状は徐々に改善していった。
スムーズな職場復帰を目指し、他の職員が夏季休暇で出入りが多い8月から復帰してゆくこととし、8月17日から職場復帰となった。
また、職場上司と面談し、復帰後しばらくは負荷をかけず徐々に慣らしていくことを申し合わせた。不調時は適宜受診し、アナフラニール点滴などを行った。
一方、復帰後より、職場の上司が患者を心配してか、「趣味を持て」、「考え方を変えろ」、「そんなだから病気になるんだ」「病気なのだから伝々」と『お説教』をすることが患者の負担となってきた。
何回か上司と面談し、そういった『指導』は逆効果である旨説明したが、患者宅に頻繁に電話する、呼び出して説教をする等は相変わらずであり、患者のうつ状態は改善してきたものの、「仕事のせいでうつになったのに、まるで自分が悪いみたいな言い方をされる」「職場としての管理責任を感じていない」など、感情的なこじれが拡大していった。逆に患者も意欲の改善からか上司に反論するようになり、しばしば口論となった。
同年10月本人より「もう仕事にいけないし少し休みたい」旨の訴えあり。以前のような抑うつ状態ではないが、イライラ感、焦燥感がみられ、明瞭でないにせよ希死念慮を感じさせる言動もみられたため、当該上司のさらに上司と相談し、10月6日より再び6週間の病気休暇をとらせることとした。
本人からも「以前のように何もできない状態ではないし、勝手なことをしているのはわかっています。少し休んだら、6週間を待たずに出勤するつもりです。」との言葉がきかれていたが、病休中にもやはり上司からの電話がしばしばあり、感情的な対立は顕著となってしまった。
産業医と相談し、仲介に入ってもらい、11月16日職場復帰となった。その後は上司とは冷戦状態で、上司へのあてつけもあるのか、内服も拒否し経過(実際は内服している)。他の職員や主治医に対しても静かな敵意を向ける状態が続いた。
12月20日上司と衝突。そのまま無断早退(実際は手続きをとっているが断っていない)し、その足で当科受診。
当初は怒り心頭に発した面持ちで「先生に話しても仕方ない」と繰り返していたが、「(上司は)口ではなんだかんだいってもつぶれる方が悪いと思っているのが言葉の端々にみえる。頭にきて、このまま死のうかと考えたが(実際はそこまで考えていない)、ここへきた」とさまざまな心情を吐露し、帰宅した。
その後再び産業医と相談し、仲介をお願いした。関係修復には至らなかったが、以後は互いに距離をとるようになり、また内服も再開され(実際は中断していない)、良好ではないが大過なく経過した。
平成17年3月県内C市の本社への異動が決まり、転居に伴い紹介状を用意することとした。

最終処方

パキシル(20)1錠 夕食後
トレドミン(25)3錠 毎食後

コメント

  1. アトラス より:

    はじめまして。
    これは労災を認定される程度のストレスですね。
    ストレスイベントが重なりましたね・・・

  2. hyouhyou より:

    はじめまして。
    コメントありがとうございます。
    初めて精神科を受診した頃は本当につらくて寝ることも食事もできませんでした。
    あのときの上司は別の部署で偉くなっています。
    職場復帰した後顔を合わせなければいいなと思っています。